剣先

家の上王林収穫
運搬車2台でフル稼働
それを軽トラックで冷蔵庫まで運んで予備選果
作業が終わってから倉庫で選果機で選果
この一連の作業は即座に発送できるように選果して冷蔵庫で保管する
俺は千疋屋向けのシナノゴールドの選果
今日は3時間ぶっ通しでやるつもりでbluetoothのヘッドホーンをつけて
ロックを流し続ける
アドレナリンマックスでいかないと押しつぶされそうな重圧感がある
千疋屋の棚に上がるということはそういう事なのだ
一個一個吟味して飾り付けられる
そこは坪単価7000万の土地の上
買う人を納得させなければ意味がない
そんな使命を帯びれば緊迫感が漂わないわけがない
津軽から始まって我が家で収穫できる品種の選ばれた侍たちは出荷されていく
まるで真剣勝負の相手の剣先でも見つめるような心境だ
気が弱ければ到底続けられない
終わると途端に体に力が入らなくなるから不思議だ
この気持ちの緩急が途切れないようにと集中する
大好きなロックは気持ちを高ぶらせるのには最適だ
Ｆ１のテーマが最近お気に入り
この選果のやり取りはりんごを売っている心境ではない
自分の生きざまを見てもらうほうが近いかもしれない
釈迦のりんご園でこうした真剣勝負ができる幸せは何物にも代えがたい
人生でどれほどの真剣勝負ができるのだろう
いつも心の底には這いあがっていこうとする自分がいる
それを妨げるのも又自分
後押しするのも自分
負けてたまるか