今日もフル稼働

今日も野外班、倉庫内班、みんな箱詰めされた段ボールに埋もれながら作業が続く
その合間を縫って専務は品評会のりんご選び
先月孫の桜都が産まれてから
専務は美穂と一緒に交代で育てている
夜も交代でとなるとさぞかし疲れがたまっているだろう
朝は嶺桜の食事と学校の支度もこなしている
今の時代のイクメンとはこうなっているのだろう
わが身を顧みれば男は子育ての分ひたすら仕事に没頭していたような気がする
いまの時期はりんごの収穫作業が終われば夜選果発送
夜中に座敷で品評会のりんごを選んでいた
何度座敷でそのまま寝てしまったか知れやしない
そうして勝ち取ってきた青森県でトップの座
時間的な余裕があったわけじゃない
多分専務もそんな背中は見てきたと思う
品評会のりんごを選ぶ座敷は自分にとって戦場なのだ
数百個のりんごが並べられ一個一個りんごの顔を見ていく
弦の太さや彫の深さ、色調、すごみ、協調性
大臣賞を狙って１０回を重ねたときは自宅に帰って一人大泣きした
悔しさは我慢できるが地域の名声を守るための戦で負けるわけにはいかなかった
座敷でおお泣きした後で仏壇に線香をあげておかれた境遇に感謝した
次の日からはまた戦に向けてスタートを切った
毎年その繰り返しで今がある
そのまま専務に受け継がれた意志は途絶えることなく進むだろう
いいりんごをとってなんぼ
それを選んでなんぼ
勝って当たり前ならその上をいけばいい